内科
内科
嘔吐、下痢等がみられた時は、胃腸内のウイルス、寄生虫、細菌、腫瘍病変、アレルギーなどが関与していることがあります。また、肝臓や腎臓等、他の臓器の病気が原因になっていることも多く、その場合は根本的な原因の治療をしていく必要があります。
膵炎は何らかの原因で膵臓の消化酵素が活性化されることで、膵臓の自己消化と炎症が進む病気です。重度になると周囲の臓器に炎症が波及して、全身性炎症反応症候群(SIRS)や多臓器不全症候群、ショック、播種性血管内凝固(DIC)等の合併症を引き起こし、死に至ることもあります。脂っこい食事が原因になることがあるため、食事の管理が必要になります。
治療は、食事管理に加え、輸液、疼痛管理、制吐剤、抗炎症薬で炎症が引くまで緩和治療を行います。
炎症性腸疾患は胃や小腸、大腸に慢性的な炎症を起こす免疫の病気です。食事の変更や抗生物質を使うことで腸管内の抗原物質を減らし、抗炎症薬や免疫抑制剤を使用し炎症を抑えることが治療になります。
生涯治療が必要になることもあり、またリンパ腫と併発することもあることから、治療前に内視鏡検査や予後説明が必要となります。
内分泌系の病気は、食欲が落ちないことも多く、初期に気づかずに見過ごされてしまいやすい病気です。放置しておくと、血栓塞栓症、高血圧、腎不全、糖尿病性ケトアシドーシスなど死に直結する病気に進行していく可能性が高いです。多飲、肥満、皮膚が薄くなるといった症状がみられたら、検査を行い確認が必要になります。
副腎皮質ホルモンであるグルココルチコイドが、過剰に分泌される病気です。ワンちゃんでは比較的発生率の高い病気になります。副腎皮質機能亢進症の95%以上で多飲多尿の症状を認めます。その他に、皮膚が薄くなる、皮膚に石灰沈着を起こす、左右対称に脱毛が見られる、お腹が張ってくる、ハァハァと息遣いが荒くなる、といった症状が現れるようになります。主に、脳の下垂体が過剰に副腎皮質刺激ホルモンを放出することで刺激された副腎から副腎皮質ホルモンを分泌することで起こる場合(下垂体性クッシング症候群:PDH)と、腫瘍化した副腎が副腎皮質ホルモンを過剰に放出することで起こる場合(副腎腫瘍:AT)に分類されます。
治療せずに放置しておくと、血栓症、感染症、高血圧、糖尿病等、別の病気の原因になり得ます。トリロスタンという副腎皮質ホルモン合成阻害剤を用いて行う内科的治療の他、外科手術や放射線治療も治療法として挙げられます。相談しながら、その子に適した治療方針を立てていきます。
糖尿病は、インスリンの分泌不足やインスリンの抵抗性増加により、インスリンが働かなくなる内分泌疾患です。その結果、血糖値が上昇し、多飲多尿や体重減少の症状が現れます。合併症として、白内障や糖尿病性腎症が挙げられ、重度な場合は、糖尿病性ケトアシドーシスに移行し、命を落としてしまう場合もあります。
治療法は、食事の管理を行い、さらに、血糖値をコントロールするためにインスリンの種類や投与量を決めていくことになります。投与の仕方によっては、低血糖を起こしてしまうことがありますので、慎重に投与量の調節をかけていく必要があります。
心臓の病気は進行性の病気ですが、普段の生活の中で、なかなか気付くことができない病気です。病気によっては手術適応の場合もありますが、治療できない病気もあり、生涯付き合っていかないといけない病気になります。咳が増えてないか、運動して疲れやすくなってないか、この辺りの症状がみられたら要注意です。定期的なワクチンや健診のときに、心臓の音に異常がないかを確認していくことも大切です。
ワンちゃんで最も多い心臓の病気です。高齢の小型犬で多く、特にチワワで多い病気になります。左心房と左心室を仕切っている僧帽弁が粘液腫様変性を起こし、血液の逆流が生まれ、左心房圧が上昇することで悪化していきます。その結果、失神が出たり、肺に水が溜まる肺水腫を起こし呼吸困難で亡くなってしまいます。若い子であれば手術も検討、高齢な子であれば強心剤や利尿剤等の内科療法で進行を遅らせる治療を行います。治療費が高額になりやすく、生涯付き合っていかなければならない病気です。聴診で心雑音が聞こえることが多いので、定期的な健診で指摘されたら検査を行いましょう。
早期の発見、早期治療がとても重要な病気になります。
ネコちゃんでよく見かける心臓の病気です。左心室が肥大することで内腔が狭小化し、左心室への流入を障害することで左心房が拡張し、鬱血性心不全へと進行していきます。合併症として、肺水腫、胸水・腹水の貯留を引き起こすことがあります。また、動脈血栓塞栓症を併発することが多く、後肢の冷感や後肢麻痺の症状を呈し、突然死することも少なくありません。初期に症状が出にくいため、発見が遅れてしまいがちな病気です。
心臓の過剰な動きを抑えてくれるβ遮断薬の他に、利尿剤、抗血栓薬等を使用して治療を行います。
呼吸器の病気は進行が早く、1〜2日でも判断が遅れるとあっという間に亡くなってしまう怖い病気です。呼吸が苦しそう、咳が増えている等の症状がみられたら早めの受診を心がけましょう。
免疫がしっかりしていない、特に飼い始めたばかりのワンちゃんで多い、風邪のような咳が出てしまう病気です。若齢の犬でワクチンをうっていない子は感染しやすい傾向にあります。伝染力の高い病気で、重症化すると肺炎、呼吸困難を起こすこともあります。抗生物質、鎮咳薬、気管支拡張薬、噴霧吸入(ネブライザー)療法といった対症療法で治療をかけていきます。
肺炎には様々な種類があり、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、真菌性肺炎等、それぞれ原因が異なります。誤嚥性肺炎は、食べたものや胃の内容物が気道内に入り込んで、炎症を起こしてしまうことで発症する肺炎です。
レントゲンで肺の異常所見がないかを確認し、治療反応が悪い場合は、CT検査、気管支肺胞洗浄(BAL)、肺生検等で原因となる細菌や真菌の特定が必要になります。
治療には、脱水対策としての輸液、栄養サポート、加湿、酸素療法等の補助療法が必要になってきます。噴霧吸入(ネブライザー)療法も効果的です。複数の抗生物質を組み合わせて治療していくことが多く、重症例では人工呼吸器を用いて治療を行なっていきます。治療期間は3〜4週間程度と長引く傾向にあります。
泌尿器の病気はネコちゃんで比較的よく見られます。おしっこが出ない症状は、緊急疾患の可能性があるので症状が出ればすぐに受診しましょう。1日遅れるだけでもより重傷化してしまいます。若い子は、フードや定期的な尿検査で尿路結石の予防をして、高齢な子は、健診で腎不全の早期発見を心がけて、泌尿器の病気と上手に付き合っていきましょう。
高齢なネコちゃんで多い病気です。お水をたくさん飲んで、おしっこをたくさんするようになって、初めて気付く病気です。初期の症状は、嘔吐が増えた、なんとなく食欲が落ちてきた等、軽い症状から始まります。進行していくと、腎性貧血、高血圧、蛋白尿が出始め、脱水が進むにつれて口臭がきつくなり、最終的に痙攣を伴い亡くなってしまいます。
フードを腎臓の療法食へ切り替えること、点滴して脱水しないように管理してあげることが主な管理になります。腎不全は治らない病気なので、早期発見して上手に付き合っていきましょう。
特に雄のネコちゃんに多い病気です。膀胱からペニスの間の尿道と呼ばれる部位が、何らかの原因で詰まってしまうために、おしっこが出なくなってしまう病気です。排尿ができない状態が1〜2日続くと、急性腎不全を併発し、最悪の場合、そのまま亡くなってしまいます。膀胱炎でも同じようなおしっこが出にくい症状が出ますが、お家でどちらか見分けるのは難しいので、症状が見られたら必ず病院で確認してもらいましょう。
主な原因は、結石、尿道栓子(結晶成分や炎症産物が固まったもの)、腫瘍、慢性刺激による狭窄、神経障害等が挙げられます。このうち結石や栓子が関与しているものは食事療法で改善を行なっていきます。重度に狭窄している場合は、会陰部尿道造瘻術(尿道を広げる手術)という外科手術が適応になります。
腫瘍は見た目では、良性のものか悪性のもの(癌(がん))かわかりません。悪性腫瘍の場合もありますので、見つけたら早めに受診をして確認しましょう。腫瘍は、皮膚にできた場合は気付きやすいですが、腹腔内にできた場合はなかなか気付くことができません。普段からワンちゃん、ネコちゃんとのスキンシップを積極的にとるようにして、体を触ることを習慣付けましょう。
なんとなく元気がない、どこからかわからないが出血している、下痢が治らない等、わかりにくい形で症状が出てくることも多く、気付いたら水面下で進行していたなんてことも度々みかけます。普段から予防や健診で確認していくことが大切になってきます。
リンパ腫とは血液の癌(がん)の一種で、白血球の中のリンパ球が癌細胞になってしまう病気です。ワンちゃんの場合、全身のリンパ節が腫れる多中心型リンパ腫が多く、その他に縦隔型や消化器型等があります。ネコちゃんでは猫白血病ウイルス(FeLV)の感染があると発症しやすい病気です。無治療だと4〜6週間で亡くなってしまい、多剤併用の抗癌剤のプロトコールで治療をかけると、1年以上も生存期間を延ばせる場合もあります。
肥満細胞腫は、皮膚の腫瘍の中では比較的発生率の高い癌(がん)になります。ワンちゃんの肥満細胞腫は様々で、進行が遅く緩やかな経過をとる悪性度の低いものから、転移してしまう悪性度の高いものまで存在します。ネコちゃんの肥満細胞腫は、外科手術を行うことで、比較的長期にわたって生存できる場合が多いです。肥満細胞腫から大量のヒスタミンやヘパリンといった物質が放出されることによって、胃十二指腸潰瘍を起こし、腫瘍周囲が炎症を起こし、赤く腫れたり、内出血を起こしてしまうことがあります。これをダリエ徴候と呼びます。
肥満細胞腫の治療方法としては、外科手術で切除することが挙げられますが、進行状況や発生部位、治療背景に応じて、放射線治療や内科的治療(抗癌剤治療)を組み合わせて、各症例にあった治療法を組み合わせて行なっていきます。
脳や脊髄に異常があるときに、てんかん発作(痙攣のような症状)や四肢の麻痺、旋回運動等の神経症状が出ることがあります。てんかん発作は、5分以内に落ち着くことが多いのですが、てんかん発作が止まらない場合はそのまま亡くなってしまうこともあります。また、椎間板ヘルニアのように手足の動きが悪くなっている場合は、放置していると徐々に悪化して神経の障害から後肢麻痺、排便困難につながります。症状が見られたら、すぐに受診し治療をしていきましょう。
椎間板物質が脊髄を圧迫することで、神経症状が出る病気です。ミニチュア・ダックスフンドやビーグルでよく見られる病気です。軽度なものは痛みを感じ動かなくなり、触るとキャンと鳴くようになります。重度なものになると、痛みも感じなくなり、後ろ足を引きずって歩くようになります。同時に、おしっこも自力でできなくなってしまいます。
軽度な場合は、安静を心がけて、鎮痛剤やステロイド等を使用して内科的に治療していき、重度の場合は片側椎弓切除術といった外科的な手術で治療していく必要があります。その際、CTやMRIといった精密検査を行い、病変部位を確定して手術を行います。
てんかんとは「脳における過剰または同期性の異常なニューロンの活動による一過性の徴候または症状」で様々な形で発作を引き起こします。痙攣もその一つの症状に当たります。
原因究明のためには、MRI検査、脳脊髄液検査、脳波検査等が必要になります。そして、てんかん発作の治療は抗てんかん薬を使用して行っていきます。遺伝性素因以外にてんかん発作の原因となる病変・病態が認められない特発性てんかんの場合、治療によるコントロールができているのであれば、生存期間は健康な子と比べても大きく変わりありません。
一方、脳奇形や脳腫瘍、脳炎等によって発作を起こしている症候性てんかんの場合、難治性てんかんの場合、群発や重積を繰り返している場合、こういった場合は原因にもよりますが、生存期間は比較的短くなります。
STEP1受付・問診
受付いただきましたら、スタッフから問診させていただきます。どのような症状がいつごろからあるのか、どんなことが気になっているのか、気になることや聞きたいことをお伝えください。
お待ちしている間に、何かございましたらご遠慮なく受付にお声がけしてください。
STEP2身体検査
診察室へお入りいただきます。普段の様子や食欲の有無等もお伺いさせていただき、聴診、触診、検温等の身体検査を行います。問診や身体検査だけで診断がつかない場合は、より詳しい検査が必要になります。
STEP3検査
必要と判断した場合には、血液検査やレントゲン検査、超音波検査等へ進みます。より詳しい検査を行うことで、症状の原因を特定していきます。
STEP4検査結果の説明・治療方針のご相談
検査結果をお伝えし、今後の治療方針の相談やご自宅での管理の仕方など、ライフスタイルに合わせてお話しさせていただきます。ご不明な点がありましたら、スタッフにご相談ください。
STEP5お会計・次回の予約
受付でお会計、お薬のお渡しを行います。保険にご加入されている方は、予め保険証をご提示ください。次回の再診の目安もお伝えさせていただきます。