予防・ワクチン・健診・避妊去勢手術
予防・ワクチン・健診・避妊去勢手術
当院では、より長く健康を維持するために予防医療を推奨しています。各種ワクチン、フィラリアの予防、ノミ、マダニの予防、健康診断、避妊去勢等、これらの予防医療を行うことにより、様々な病気にかかってしまうリスクを減らし、より健康でより充実した生活が送れるようになります。
ワンちゃん、ネコちゃんが健康的な生活を送っていく上で、必要不可欠なものになっています。
狂犬病予防法によって年に1回の接種が義務付けられています。
ワンちゃんを飼われて初めて狂犬病ワクチンを接種する場合には、初回のみ各市町村での登録が必要となります。
よくある病気の予防がまとめてできるワクチンになります。予防できる病気の中には、感染すると致死率の高い病気や人にも感染してしまう恐れのある病気も含まれています。年齢や住んでいる地域によって、かかりやすい病気は様々です。その子のライフスタイルや体質に合わせて、ワクチンの種類を選択していきます。
犬のワクチンで防げる病気
猫のワクチンで防げる病気
フィラリアは、蚊を媒介してワンちゃんやネコちゃんの血管内に侵入する寄生虫です。ワンちゃんでは、最終的に心臓に寄生して、子供であるミクロフィラリアが増殖することで、血管内に詰まってしまい、症状が現れます。フィラリア症を起こすと、循環不全、肝障害、胸水・腹水の貯留等といった症状が現れ、突然死してしまうこともあります。
近年では、感染しないように、毎月予防薬を投与していくことが推奨されています。おやつタイプ、錠剤タイプ、背中に垂らすタイプ、注射タイプ等、様々な予防薬があります。投薬前には血液検査で、フィラリアの感染の有無を確認します。
ノミ、マダニは暖かい時期になると、草むらで感染する寄生虫です。他のワンちゃん、ネコちゃんを通して感染する場合や、人の服にくっついて、自宅の中で感染する場合もあります。さらに、ノミは皮膚が痒くなるノミアレルギー性皮膚炎、便にゴマのような寄生虫が混じる瓜実条虫感染症の原因にもなります。マダニは、貧血を起こすヘモプラズマ感染症の原因になります。また、人にも感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は重化すると死亡してしまう怖い病気で、この病気もマダニが原因となって発症します。
ノミ、マダニの感染は他の病気も引き起こすことがあるので、しっかり予防をしていきましょう。予防薬は、おやつタイプや背中に垂らすタイプがあります。
ワンちゃん、ネコちゃんは1年間で約4年分(人の4倍)の年をとります。寿命が約15年と短い分、体の衰え方も早く、知らないうちに病気が進行しているケースが多いです。水面下で進行して、急に症状を出す病気はたくさんあり、運が悪いと健康だと思っていたのに急に亡くなってしまうことも多く見かけます。特に心臓、胆嚢の病気、腫瘍等は症状がわかりにくい場合が多いため、気付かない場合が多いです。
定期的な健康診断を心がけることで、こういった病気を早期発見することができ、早期治療につなげていくことができます。こういった病気を予防する目的で、当院では年に1〜2回の健康診断を推奨しています。
脾臓は症状が出にくい臓器の1つです。腫瘍ができたとしてもなかなか症状として現れません。腫瘍が大きくなって、破裂、出血しぐったりした時に見つかることが圧倒的に多いです。脾臓腫瘍の2/3は悪性腫瘍、そのうち2/3は血管肉腫と言われています。さらに、この血管肉腫は、症状が出て見つかったときには、余命はわずか3ヶ月程度まで進行しているという悪性の腫瘍になります。ゴールデン・レトリバーやミニチュア・ダックスフンドに多い病気です。
手術や抗癌剤治療を行いますが、それでも半年ほどしか生きられない、非常に予後の悪い病気になります。健康診断をしていれば、早期に発見することができ、外科手術を行うことで治療することができます。
胆嚢は消化を助ける役割を持つ胆汁をためておくための臓器で、非常に症状が現れにくいです。胆泥は胆汁が濃縮され泥状に変化したもので、ワンちゃんで比較的多い病気です。さらに、一部の子は、ムチンと呼ばれるゼリー状の物質に変化することで、胆嚢粘液嚢腫と呼ばれるようになります。
胆嚢壁の血流が悪くなり、壊死、破裂して、初めて症状が出ます。病院へ来るときにはぐったりして、腹痛を伴うことがほとんどです。胆泥症は療法食での管理と内科的治療、進行して胆石や胆嚢粘液嚢腫が見つかったら、外科手術が適応となります。胆嚢粘液嚢腫は健康診断をすることで、未然に治療をかけることができる病気です。
避妊・去勢手術は、生殖器の摘出手術を行う手術のことです。女の子で子宮や卵巣の摘出を行う手術のことを避妊手術と呼び、男の子で精巣の摘出を行う手術のことを去勢手術と呼びます。
メリットとして、妊娠を回避できること、ホルモン分泌がなくなりストレスがかかりにくくなること、攻撃性やスプレー行動が緩和される可能性があること、病気を未然に防いでくれること等が挙げられます。デメリットとして、太りやすくなることも挙げられますので、手術後は食事の管理が必要となります。
乳腺腫瘍はできてしまうとワンちゃんでは約50%が悪性、ネコちゃんでは80〜90%が悪性だと言われています。悪性であることが比較的よくある腫瘍なのですが、避妊することで、乳腺腫瘍の発生自体を予防することができます。ワンちゃんでは、初回発情前に行えば発生率は0.05%に、初回発情後〜2回目発情前までに行えば発生率は8%に、2回目発情後以降に行えば発生率は26%に抑えることができると言われています。また、ネコちゃんでは、6ヶ月齢以前に行えば発生率は9%に、7〜12ヶ月齢に行えば発生率は14%に抑えることができ、13〜24ヶ月齢に行えば発生率は89%、24ヶ月以降に行っても発生率に影響はないと言われています。
こういった理由から、当院では、1歳までの早期な時期での手術を推奨しています。
子宮蓄膿症は子宮内に膿が溜まってしまう病気です。発情して免疫力が低下したタイミングで、細菌感染を起こしてしまうことで発症します。避妊手術をしていない高齢なワンちゃんでは比較的よく見られる病気です。症状として、食欲がなくなり、発熱し、お水たくさん飲むようになるのが特徴です。子宮に膿が溜まるためにお腹が張り、陰部から膿が排出されることもあります。内科的な治療法もありますが、再発する可能性が高いため、基本的には外科手術で治療していきます。避妊手術を行っておくことで予防することができる病気です。
通常、犬の場合、精巣は生後1〜2ヶ月で陰嚢内へ下降します。性成熟に達しても陰嚢内に下降していない精巣は、潜在精巣と呼ばれます。潜在精巣は、正常の精巣より13.6倍も腫瘍化しやすいと言われているので、見かけた場合は、早期に去勢手術をすることを推奨しています。特に、セルトリ細胞腫という精巣腫瘍は、ホルモン異常により、脱毛や非再生性貧血の症状が見られる腫瘍です。正常な精巣でも腫瘍化することはあるので、去勢手術をすれば、精巣腫瘍を未然に防ぐことができます。
ワンちゃんは、高齢になると、ホルモンバランスの変化によって、前立腺が肥大してきます。前立腺の過形成は、9歳齢までに去勢していない雄犬の95%で見られるとのデータもあります。顕著に肥大する場合、排尿困難や排便異常の症状が現れる場合があります。この場合、精巣摘出を実施することで前立腺肥大が改善します。あらかじめ去勢をしておくことでも防ぐことができる病気です。