犬・猫の慢性腎不全|半田なのはな動物病院|半田市成岩本町の動物病院

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犬・猫の慢性腎不全|半田なのはな動物病院|半田市成岩本町の動物病院

犬・猫の慢性腎不全

こんにちは、半田なのはな動物病院です。

今日は慢性腎不全について紹介をしていきます。

 

慢性腎不全(CKD)は、腎臓の機能が徐々に低下する進行性の疾患です。腎臓は、老廃物の排泄や電解質の調整、水分バランスの維持を行う重要な臓器です。この機能が低下すると、体内の老廃物がうまく排泄されなくなり、様々な健康問題が引き起こされます。慢性腎不全の原因は色々ありますが、一般的な原因としては、加齢、慢性的な炎症、感染症、代謝異常、遺伝的要因などが挙げられます。

 

慢性腎不全の症状

慢性腎不全の初期段階では、症状がほとんど現れないことが多いです。しかし、病状が進行するにつれて、多飲多尿や食欲不振、体重減少、嘔吐や下痢、脱水症状、疲労感や無気力、口臭などの症状が現れます。これらの症状は、腎臓の機能低下により体内の老廃物が蓄積し、身体の様々な部分に影響を及ぼすために起こります。

 

慢性腎不全の診断

慢性腎不全の診断には、血液検査、尿検査、超音波検査などが用いられます。

血液検査では、BUN(血中尿素窒素)やクレアチニンの値を測定し、これらの値が高い場合には腎機能の低下が疑われます。また、尿検査では、尿比重や尿中のタンパク質、出血をしていないかなどをチェックします。超音波検査では、腎臓の形状やサイズ、結石の有無を確認します。さらに、SDMAの測定も早期診断に役立ちます。

 

治療方法

慢性腎不全の治療は、主に以下のような方法で行われます。

食事療法

低タンパク質、低リン食が推奨されます。腎臓に負担をかけない食事を心がけることで、進行を遅らせることができます。

薬物療法

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの薬物を使用します。これらの薬は、腎臓の血流を改善し、腎機能の低下を抑える効果があります。

高血圧の管理

慢性腎不全に伴う高血圧を管理するため、降圧薬の使用が必要です。血圧を適切にコントロールすることで、腎臓への負担を軽減します。

電解質の調整

高リン血症やカリウム異常などの電解質異常がある場合、リン吸着剤などの薬を使用します。

貧血の治療

エリスロポエチン製剤を使用して、腎不全に伴う貧血を治療します。

定期的な検査と診察

定期的に血液検査や尿検査を行い、病状の進行を確認します。

 

具体的な治療計画

慢性腎不全の治療計画は、国際腎臓学会(IRIS)のステージ分類に基づいて、その子の状態に合わせながら立てていきます。

以下は、各ステージにおける治療の概要です。

ステージ1-2

基礎疾患の特定と管理が重要です。腎保護を目的とした治療を行い、ACEIARBの使用が推奨されます。

ステージ3

臨床症状の管理と生活の質(QOL)の維持が目指されます。特に、低タンパク質食の摂取が重要です。

ステージ4

集中的な治療が必要となり、透析療法が検討されることもあります。

 

今回は、慢性腎不全について説明しました。

この病気は進行性であり、早期発見と適切な治療が非常に重要です。慢性腎不全は治すことができない病気で、ケアしてあげることでその子の生活の質が落ちないように上手く付き合っていくことができる病気です。わんちゃん猫ちゃんの健康を守るためにも、定期的な健康チェックを行い、お水をよく飲むなどの異常が見られた場合はすぐに動物病院で診察を受けることをおすすめします。

しっかりとしたケアで、愛するわんちゃん、猫ちゃんと長く健康的に過ごせるようサポートしていきましょう。