子宮蓄膿症
- 2024年1月8日
- 病気
こんにちは、院長の河内佑介です。
今日は子宮蓄膿症について紹介をしていきます。
子宮蓄膿症は子宮の中で細菌が繁殖し膿が溜まってしまう女の子の病気です。
避妊手術を行なっていないわんちゃんに多くみられる病気ですが、猫ちゃんでも発症する病気です。
治療せずにいると、多くの場合が亡くなってしまいます。
避妊していない子が、たくさんお水を飲むようになり、元気がなくなる場合は、この病気の可能性があります。
発情するたびにホルモンによって子宮内膜が刺激され、肥厚してしまい、さらに外陰部からの細菌が入り込むことで発症します。
症状としては、元気や食欲がなくなり、嘔吐がみられます。
多飲の症状を示すことも多い病気です。
お腹を触ると痛がる様子が見られ、また、外陰部からの滲出液(おりもの)が増えることもあります。
滲出液が出てこない閉鎖性の場合、気付きにくいため発見が遅れることがあります。
重度になると、不整脈を認める場合もあります。
血液検査で炎症が起きてないかを確認していきます。
超音波検査では子宮内の蓄膿がないか、子宮内膜の腫れがないかなど確認していきます。
外陰部からの滲出液(おりもの)がある場合は、細菌がいないかを確認して、診断していきます。
治療方法は、基本的に外科治療となります。
脱水を補正するために輸液を行い、細菌を倒すための抗生物質を投与します。
原因となっている膿が溜まっている子宮と卵巣を摘出することで、感染源を取り除き、治療していきます。
手術後、全身に広がってる細菌に関しては、内科治療を行っていきます。
外陰部から膿が出てくる開放性の場合、かつ、麻酔をかけれない(麻酔リスクが極めて高い)場合は内科治療も選択肢となってきます。
プロジェステロン受容体拮抗薬(アグレプリストン)を使用することで、子宮内の膿を排出させて治療していくことが可能です。
抗生物質の投与や輸液治療も実施して、治療を行っていきます。
子宮蓄膿症はSIRS(全身性炎症症候群)を起こしていることがよくあり、DIC(播種性血管内凝固)を併発した場合、亡くなってしまう可能性が高まります。
DIC(播種性血管内凝固)とは、感染症や腫瘍などが原因で血管が目詰まりする(血栓ができる)ことで、多臓器不全と出血傾向を示すようになる二次的な病態のことです。
手術を乗り越えて調子が上向いてこれば、次第に元気になっていきます。
また、子宮の中に溜まっている膿が子宮を突き破って子宮破裂を起こすと、腹膜炎を起こし、死亡率が上がります。
内科的治療でも一時的には良くなりますが、再発する可能性があるため、最終的には外科手術が必要になってきます。
今回は、子宮蓄膿症について説明しました。
避妊手術をしていれば予防することができる病気ですが、予防してないと比較的よく遭遇する病気であり、治療しないと亡くなってしまう可能性が髙い病気です。
避妊手術を行って予防してあげることは大切ですね。
しっかり予防を行なって、健康的に生活できるようにサポートしていきましょう。